薬剤師として働きたいと考えている人のなかには、パートで働きたい人もいるでしょう。薬剤師のパート募集は増加傾向にありますが、都市部では競争率が高く就職しにくいです。一方で地方は人手不足により求人が多い傾向にあります。以下では薬剤師のパート募集の推移や地域差などについて解説します。
厚生労働省が毎月公表する求人数の倍率を有効求人倍率といいます。企業がハローワークにエントリーする仕事の数を働きたい人の数で割って算出し、出た結果が1より大きいか小さいかで就職のしやすさを判断します。1よりも倍率が大きい場合は求人数が応募数よりも多いため就職しやすく、1よりも倍率が小さい場合は応募数のほうが求人数よりも多いため就職しにくいです。
厚生労働省が発表した「主な職業別常用有効求人求職状況」では、令和5年11月の薬剤師を含む医療関係者のパート常用の求職者数が358人であるのに対し、求人数は268人でした。求人数より求職者数が上回っており、求人倍率は0.75倍となっています。※1
しかし、「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると令和4年の薬剤師の総数は前回より0.5%増加していました。※2また、令和4年11月に86だったパート常用求人数が、令和5年11月には99に増えており、求人数は増加傾向にあることがわかります。※3薬剤師のパートの求人倍率は高いとはいえないものの、有効求人倍率は回復傾向にあるといえるでしょう。
※1※3【主な職業別常用有効求人求職状況】
※2【3 薬剤師】
薬剤師のパート募集は地域によって差があるという結果が、厚生労働省の調査により出ています。「都道府県別にみた人口10万体薬剤指数」をみてみると、薬剤師が最も多い県は徳島県で244.0人、次いで兵庫県の236.6人、東京都の235.7人でした。一方で、最も数字が少ないのが沖縄県で149.4人、次いで福井県の163.6人、青森県の167.2人です。※4
また、「都道府県(従業地)別にみた薬局・医療施設に従事する人口10万対薬剤師数」を参照したところ、全国平均を超えている都市は、東京、神奈川、大阪、兵庫、和歌山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀でした。※5
上記の内容から、薬剤師の人数が多いのは大都市であり、東北地方や中部地方では薬剤師の人数が少ないことがわかるでしょう。このような地域差が出るのには、都市部には大学部の薬学部が多く存在するからだと考えられます。
結果的に慢性的な薬剤師不足に陥った地方では、高収入で薬剤師を募集しています。多くの場合、都市部の方が収入は高い傾向にありますが、薬剤師においてはそうではありません。パートで高収入を目指すのであれば、都市部より人手不足の地方を狙うのがおすすめです。
※4※5【都道府県(従業地)別にみた人口10万対薬剤師数】
薬剤師のパートの有効求人倍率は1を切っていますが、地域差があるため必ずしも就職しにくいわけではありません。薬剤師が増加しているのは東京や神奈川といった都市部であり、地方では人手不足のところもあります。薬剤師自体の求人も増えているので、需要はあるといえるでしょう。薬剤師を目指すのであれば、地方での就職を考えてみるのがおすすめです。