医師国家試験ほどではないにしろ、決して容易ではない薬剤師国家試験、近年その合格率は70%前後にとどまっていますが、直近の合格率はいかほどでしょうか。
試験の合格基準なども気になるところですが、今回は最新(2023年)の合格率と合わせて、大学別の合格率にもついても詳しくみていきます。
令和5年(2023年)2月18、19日の2日間に渡って行われた、第108回薬剤師国家試験の合格者が、厚生労働省のホームページで発表されました。今回の出願者数は15,334人、そのうち受験者数は13,915人で合格者は9,602人、合格率は70%をわずかに下回る69%でした。
ちなみに男性合格者は3,549人で合格率は66.2%、女性合格者は6,053人で合格率は70.76%で、女性がやや高いという結果になりました。
参考:第108回薬剤師国家試験の結果について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001074914.pdf
第108回は第107回と比べ、問題が若干平易であったとはいえ、臨床に関わる問題が多数出題され、患者の治療に対応するための知識が求められていたといえます。
厚生労働省によると、薬剤師国家試験の合格基準は2点あります。まず、従来の「絶対基準」から、第101回の試験から「相対基準」が導入されたことです。つまり、合格発表まで何点とれば合格なのか分からない制度になりました。途中、経過措置がとられたものの、第106回からは経過措置がなくなり、合格基準点の上限がないという「完全相対基準」に変わったのも特長です。
参考:「新薬剤師国家試験について」の一部改正について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/2_2.pdf
2つ目は、必須問題に関しては配点の70%以上、そして各科目の得点が各々配点の30%以上である点が求められています。
大学別の合格率(2023年)をみてみると、1位は名城大学の93.84%でした。次いで千葉大学の91.30%、昭和大学の91.15%、以下90%は割るものの、東北大学の89.66%、静岡県立大学の89.11%と続きます。
名城大学はさほど偏差値は高くありませんが、私立の総合大学として大学院薬学研究科があるなど、研究に力をいれているのが合格率の高さともいえるでしょうか。
ちなみに合格者数は397人の東京薬科大学が最多、そのあとを京都薬科大学の337人、明治薬科大学の311人、横浜薬科大学の300人、東北医科薬科大学、大阪医科薬科大学の290人で占めました。薬学部の単科大学が圧勝なのが伺えます。
今年の薬剤師国家試験は全345問(1問2点)と、いつもどおりなかなかのハードな試験だったわけですが、7割近くの人が合格しています。
そのなかでも新卒の合格率は84.86%と、かなり高かったことが判明しています。また、過去5年ほどの合格率は70%で推移しています。
国家試験だけに、やはり本腰で挑む人が多いようです。