薬剤師は不足している?薬剤師偏在の問題とは

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令和3年に厚生労働省から公表された「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」とりまとめで、薬剤師の需給の見込みの報告が出されました。

今後数年間、薬剤師の需要と供給は同程度で推移するが、将来的には過剰になると予測されています。

薬剤師数の増加にともない、実際に有効求人倍率が低下するなか、対して薬剤師不足が問題になっています。

薬剤師が不足しているといわれている状況を解説します。

薬剤師数と有効求人倍率

「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、薬剤師数は323,690人で、2年前の統計と比べると0.5%増加しています。

令和7年1月の医師・薬剤師等の有効求人倍率は2.35倍でした。

有効求人倍率とは求職者に対する求人数の割合で、1人の求職者に対してどれだけの求人があるのかを表す指標です。

有効求人倍率は2.35倍の場合、求職者1人に対し2.35件の求人があることを示しています。

全体の有効求人倍率は1.20倍に比較しても、薬剤師は需要が多いといえるでしょう。

しかし、薬剤師の有効求人倍率は減少傾向にあります。

5年前の令和2年1月の医師・薬剤師等の有効求人倍率は令和2年1月の医師・薬剤師等の有効求人倍率は3.61倍でした。

薬剤師不足といわれる偏在の状況とは

令和3年に公表された「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」によると、薬剤師の従事先は地域偏在や業態偏在があり、特に病院薬剤師の確保が喫緊の課題と報告されています。

薬剤師の偏在を示す指標である「薬剤師偏在指標」の目標偏在指数は1.0とされ、値が小さいほど薬剤師が不足している状態です。

全国の病院薬剤師偏在指数は0.8でした。

目標の1.0を超える都道府県はなく、すべての都道府県で病院薬剤師が不足しています。

一番低い都道府県は青森県で0.55、一番高い京都府で0.95でした。

一方で、全国の薬局薬剤師の偏在指数は1.08でした。

薬局薬剤師は目標偏在指数1.0を超えており、病院薬剤師に比べ充足されています。

偏在指数が一番低い都道府県は福井県で0.73、一番高い東京都では1.42でした。

もちろん、病院薬剤師、薬局薬剤師ともに、都道府県により偏在指数に差はあります。

さらに、一つの都道府県内でも地域偏在があるのが実情です。

東京都は一番薬剤師数が多い都道府県であり、島しょ圏域を除けば薬局の薬剤師数は充足しているものの、地域によって病院の薬剤師の不足が目立ちます。

日本で一番面積が広い北海道では、46%の薬剤師が札幌で従事しています。

薬局薬剤師は札幌など一部充足している地域もありますが、病院、薬局とも薬剤師が不足している地域は多くあります。

特に病院薬剤師の不足が深刻です。

厚生労働省では2036年までに薬剤師偏在是正を達成する目標を掲げ、各都道府県では薬剤師確保のため奨学金返済の補助をはじめとした取り組みを始めています。

まとめ

薬剤師は、長期的には供給が需要を上回る見込みという予測もありますが、薬剤師の不足が問題になっています。

令和7年1月の医師・薬剤師等の有効求人倍率は2.35倍と需要が多い状況です。

薬剤師は都道府県間だけでなく、都道府県内でも偏在しており、不足している地域があります。

特に病院薬剤師はすべての都道府県で不足している状況で、薬剤師の確保が望まれます。

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