薬剤師は2030年前後まで高齢化による患者数の増加で需要のピークに達し、以降は人口減少の影響で飽和状態になると予想されています。
職場によっては自動化が進み、薬剤師を減らしているところがあるのも事実です。
さらに、AI技術の発展で業務が簡素化されると、薬剤師の需要と供給のバランスが逆転し、安定した薬剤師としての道を奪われかねません。
この記事では、薬剤師の今後の需要を職場別に紹介します。また、需要が少なくなっても「選ばれる薬剤師になるためのスキルについても解説します。ぜひ参考にしてみてください。
薬剤師が働く職場別に今後の安定性についてどうなっていくのか解説します。
病院に勤務する薬剤師の需要はこれからも増えつづける見込みです。要因は、2012年に「病棟薬剤師業務実施加算」が新設されて病院薬剤師の働きが見直されたこと。加えて、高齢化社会により患者の増え続けることが挙げられます。
需要が増加しつづける限り、病院薬剤師の安定は今後も継続するといえます。
病院薬剤師と並び、ドラッグストアに勤める薬剤師も安定した需要が継続するでしょう。ドラッグストア業界自体が店舗の増加などで成長している現状に加え、調剤窓口が併設されたドラッグストアが増えていることから、薬剤師の需要の高まりは続きます。
また、セルフメディケーションの実践の拡大により、薬に関してアドバイスができる薬剤師は今後さらに重宝されます。一般薬に対しても深い知識があれば、より安定した業務が継続できるでしょう。
調剤薬局の薬剤師は今後、安定した需要が得られないかもしれません。理由は、2019年に厚生労働省が「薬局事務員の一部のピッキング行為」を認めたことや、調剤の自動化機器の発達で効率化がすすむことで、店舗に置く薬剤師の削減の加速が挙げられます。
AI化や自動化により、ミスなどのリスクが減るのは良いことですが、最新システムを使いこなせない薬剤師は取り残される恐れがあります。
医薬品関連企業はMRを中心に従事者数が減っています。背景は後発医薬品使用促進や薬価改定での利益率の低下からくる新薬開発の縮小にあります。そのため、製薬企業における薬剤師の需要も減少傾向です。
薬剤師がこれからも安定した仕事を得るには、さまざまなスキルの習得が役に立ちます。ここではどのようなスキルが有効か解説します。
どの職場でもコミュニケーションのスキルが高ければ高いほど円滑に業務ができるでしょう。これから先、高齢化による在宅医療の増加やかかりつけ薬剤師の重要性の拡大により、今まで以上に患者さんや医療従事者間でのコミュニケーション能力が必要になります。
会話から患者さんの感情を理解し、少しの違和感にも気付いて対処できるようになれば、薬剤師としても選ばれる人材になれることでしょう。
薬剤師として安定を求めるなら、管理薬剤師としてマネジメント力を伸ばすのもよいでしょう。管理薬剤師は薬局・店舗の責任者の役割なので、自身が中心になり店舗運営をおこなっていく能力が求められます。
店舗をスムーズに運営できるマネジメント力があれば薬剤師飽和時代にも十分対応できるでしょう。
安定した需要を得るには、以下のような専門的なスキルや資格の取得がおすすめです。
専門性があれば薬剤師としての幅が広がり、さまざまな業務を任せてもらえる機会も増え、結果として安定感がある薬剤師となれるでしょう。
薬剤師の需要は現状では高い水準を維持していますが、調剤の自動化や人口減少などの理由で供給過多になることが予想されています。その時代になっても生き残れる薬剤師となるには、専門性やマネジメントスキルを磨いて患者さんや事業者から選ばれる薬剤師になることが近道です。その結果、薬剤師としての安定が手に入ることでしょう。